3.ボード
1. パーテーションに組み込まれるボードは、その目的から
「容易に破れる事」と「台風等の風でも破損しにくい事」 の両立が求められます。
この条件に最も近いものが、
(1) けい酸カルシウム板 (ケイカル)
[タイプ1,0.8K,JIS:A5430]厚さ5mm
(2) フレキシブル板 (フレキ)
[F]厚さ4mm< または 5mm
※ 2004年10月の法改正で、これらのボードは全てノンアスベスト(無石綿)です。
※ スリム・シリーズはケイカルを標準とし、フレキをオプションとしていま す。
公団ディテールはケイカル、都住はフレキが指定されます。
(3) 不燃規格 JIS:A5430に準拠する
2. 強度(1) 破り易さの検討 (ボード曲げ破壊荷重) 900×900四辺固定の場合
品名 | ケイカル | フレキ | ||
厚み | 5mm | 4mm | 5mm | 6mm |
曲げ破壊荷重
(単位=N) |
275 | 288 | 450 | 648 |
m2当たりに換算 | 340 | 355.6 | 555.6 | 800 |
(実用試験結果)
パーテーションの強度表現 |
判定◎ | 判定○ | 判定△ | 判定× |
条件:目安の時間10~20秒
の内に2~3度行い、 人が通れる大きさに破る |
・子どもや女性のこぶしで割れる | ・子どもや女性が蹴破れる
・男性のこぶしで割れる |
・子どもや女性では破る事が困難
・男性が蹴破れる |
・非常時の脱出は困難
・ハンマー等の |
破壊形状=フレキは尖端鋭角となるため、脱出時のケガに注意を要す
強度(2) 風に対する強さの検討 (耐風圧)
1.等分布荷重試験でボードの耐風圧試験を行う。
*試験方法:4-4-Aに準ず。但しボード面にのみ荷重。
*試験体:スリム‐M H1800×W900
2.試験結果
耐風圧(破壊強度) kg(N)/面
5mm厚ケイカル板 | 4mm厚フレキ板 | 5mm厚フレキ板 | 備考 | |
上面ボード
0.65m2 |
310
(3038) |
210
(2058) |
350
(3432) |
上端部の反りで破壊を促進 |
下面ボード
0.74m2 |
350
(3432) |
210
(2058) |
430
(4216) |
四辺固定 |
フリー
0.74m2 |
260
(2549) |
260
(2549) |
270
(2647) |
枠の上にボードを乗せた 無固定状態 |
特性評価 | 13倍 優 | 7倍 可 | 9倍 良 | 割り易さと割れにくさの関係 (耐風圧/曲げ破壊強度) |
•ボードの耐風圧は、はめ込まれるアルミ枠との固定状態によって、大きく異なる結果となった。即ち、フリー(無固定状態)では260~270kgまで3種類とも大差が見られないが固定状態が変わると強度さは2倍となった。
•原因として、ビードレス構造のスリム・シリーズは、アルミ枠とボードが 強く噛み合い5mm厚では反り・曲がりの発生を抑えて十分な強度が生じた。一方4mm厚フレキ板はアルミ枠とボードとの噛み具合が弱くなり、
フリー(無固定状態)以上の強度は期待できない。なお、他社製品に多く見られるゴム・ビード止め構造は反りや曲がりが発生しやすい。
•「割り易さ」と「割れにくさ」との関係はケイカル板がフレキ板を上回り間仕切り(パーテーション)に最適な性能を示した。これは、ケイカル板の柔軟さが生かされた為と思われる。
•強度(1)(2)の結果から、ケイカル板(5mm)がパーテーションには最も適したボードと判断されます。
3.塗装
ボード塗装に使用する塗料 (種類と性能)
(1) 基材(ボード)は強度のアルカリ性(pH9~10)のため、耐アルカリ性に優れ、かつ屋外に設置されるため、耐候性にも優れた塗料が求められます。また、塗装時および設置後の溶剤発散を防ぐ必要から公団ディテールに準拠し、アクリル水性エマルションペイントを採用しています。 (JIS:K5660に適合)
(2)塗料の性能
試験項目 | 規格 | 結果 | |
塗料の中の状態 | かき混ぜたとき、硬い塊がなくて一様になること | 合格 | |
塗装作業性 | 2回塗りで、塗装作業に支障がないこと | 合格 | |
低温安定性 | -5℃に冷やしたとき変質しないこと | 合格 | |
乾燥 時間 hr |
20℃ | 2時間以内 | 合格 |
5℃ | 4時間以内 | 合格 | |
塗膜の外観 | 塗膜の外観が正常であること | 合格 | |
隠ぺい率 | 0.95以上 | 0.97 | |
耐水性 | 96時間浸したとき異常ないこと | 合格 | |
耐アルカリ性 | 7日間浸したとき異常ないこと | 合格 | |
耐硫酸(5%)性 | 24時間浸したとき異常ないこと | 合格 | |
耐灯油性 | 24時間浸したとき異常ないこと | 合格 | |
耐洗浄性 | 1,000回の洗浄に耐えること | 合格 | |
促進耐候性 | 白亜化度が8点以上で膨れ・はがれ・割れがなく、
色の変化の程度が見本品に比べて大きくないこと |
合格 | |
耐候性屋外曝露 JISK5660(2002) |
12ヶ月の試験で膨れ・はがれ・割れがなく、
色の変化の程度と 白亜化度が見本品に比べて大きくないこと。 |
合格 |
注)
● 塗膜の密着性‥‥2mm碁 盤目試験で95/100以上
● 塗膜硬度‥‥‥‥鉛筆硬度試験で H 以上
(3)成分表
大別 | 種別 | 成分名称 | 配合重量比 |
皮膜形成成分類 | 樹脂類 | アクリル樹脂 | 25.4% |
顔料類 | チタン ホワイト | 21.2% | |
助剤類 | 各種添加剤 | 1.3% | |
揮発性成分類 | 溶剤類 | 水 | 52.1% |
合計 | 100.0% | ||
備考 |
理論固形分=47.9% |
(4)染色の選定
1.スリム・シリーズの標準ボード色は、日塗工 No.C22-87C (アイボリー)です。
2.その他の色を選定する場合
(1)日塗工色見本帳から選択ください。
(2)外壁タイルの現物見本でも調色できます。
(3)「日ペ・カンペの○○○番」等のメーカー番号での指定は間違いが生じますので実色の色見本を提供ください。
(5)塗装ヌリ仕様
A 塗装工程
工程 | 方法(塗料と処理) | |
1 | 素地調査 | 被塗物表面の汚れおよび付着物を除去 |
2 | 下塗り | シーラーをエアースプレー塗装 |
3 | 乾燥 | 強制乾燥 15分以上 |
4 | 研磨 | 800~1000番のサンドペーパーにて研磨 |
5 | 上塗り1~2回 | アクリル樹脂塗料をエアースプレー塗装 |
6 | 乾燥 | 自然乾燥 12時間以上 |
7 | 検査 | 表面の検査(目視) |
B
● 塗膜の厚さ15~20μ以上
● 塗装面の光沢五分づや程度 (つや消しはオプション)
(6)保守
塗装面は4~6年に一度再塗装することで、施工当時の品質が維持されます。
4.アルミ枠との嵌合
嵌合は、ビードレス構造です。火災時の有毒ガス源となる塩化ビニールを使用していません。従って、経年変化によるビードのたわみ・脱落もありません。